2026年10月25日
相続を考えるなら知っておきたい『不動産』のお話
2027年から、貸している不動産の評価方法が変わります。
「現金のまま持っているより、不動産にしたほうが相続のときに有利」という話を聞いたことはありませんか?
これまでアパートやマンションなど人に貸している不動産は、相続の際、実際に売買される価格よりも低い金額で評価されることがありました。そのため、相続を考える方法の一つとして、不動産を活用するケースもありました。
ところが、2027年(令和9年)1月1日以後この不動産の評価方法が一部見直される予定です。難しく感じるかもしれませんが、すべての不動産が対象になるわけではありません。まずは「こういう変更がある」と知っておくだけでも十分です。
キーワードは「5年以内」
今回の見直しでポイントになるのは、相続・贈与などの課税時期前5年以内に取得・新築した一定の貸付用不動産です。
とはいえ、自分の場合はどれに当てはまるのかがイメージしにくいかもしれません。そこで、代表的なケースごとに5年ルールの影響を整理してみましょう。
これらについては、これまでの評価方法とは異なり、原則として、その時点で通常の取引で売買される価格に相当する金額をもとに評価する考え方が示されています。
また、一定の条件を満たした場合には、制度上通常の取引価額相当額を評価する際に、取得価額を基に地価の変動等を考慮して計算した価額の80%相当額で評価できる場合があるという仕組みも示されています。
こうした見直しにより、相続直前に不動産を取得することで相続税評価額を圧縮するという考え方は、これまでより使いにくくなる可能性があります。
なお、一般の貸付用不動産の5年ルールとは別に、一定の不動産小口化商品については、取得時期を問わず見直しの対象となるものもあります。不動産による相続対策を検討する際には、こうした商品ごとのルールにも注意が必要です。不動産を持っていてはいけないということではありません。ここで大切なのは、今回の変更によって、不動産を持つこと自体が相続対策として意味がなくなるわけではないということです。
不動産には、家賃収入を得たり、長く保有したり、家族に財産として引き継いだりする役割があります。
相続を考えるうえでは、「税金がいくら少なくなるか」だけではなく、以下のようなポイントも一緒に考えておくと安心です。
●この不動産は誰に残したいか
●引き継いだあと、誰が管理するか
●兄弟姉妹で分けるときに困らないか
●相続税を支払うための現金は準備できているか
相続では、税金だけでなく、財産の分けやすさ、納税するためのお金、不動産を管理する負担なども大切なポイントになります。
一番大切なのはどう残したいか
相続対策という言葉を聞くと、最初に税金を少なくすることを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。もちろん税金について考えることも大切です。
でも、それ以上に大切なのが、誰に、何を、どのように残したいかということです。相続は、何かが起きてから考えるものとは限りません。元気なうちに、家族で少しずつ始めてみることも、立派な相続の準備です。
●わが家には、どんな財産があるかな
●自宅は将来どうしよう
●子どもたちはどう考えているかな
大切なのは、節税だけではなく、ご本人とご家族が安心して財産を引き継げることです。 制度が変わるこの機会に、一度ご自身の財産を確認し、ご家族でこれからのことを話してみてはいかがでしょうか。
長尾 つた子 2026年10月25日

