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家庭経済の耳より情報

2018年07月30日

ビットコインは誰が保有しているのでしょうか?

 ビットコインの保有者は、世界にかなりの広がりを持っているものとみられています。しかし、実際のデータを分析すると、かなり一部に偏った分布になっていることが分かります。

 ビットコインの保有者の分布をみると、アドレス(口座のようなもの)は約1,900万(2017年8月)あり、かなり幅広く分布しているように見えますが、全体の9割のアドレスが、0.1BTC(約8万円:2018/7/19現在)以下の少額のビットコインしか保有していない事が分かります。

 なぜ、このような少ないアドレスが多いのでしょうか? 

 やや専門的な話になりますが、まず1つは、これらアドレスには、ビットコインとはどうゆうものかを試してみたいという「お試しアドレス」が相当数ある可能性があります。

 2つ目には、1つのウォレット(財布)で複数のアドレスを作成することが出来るため、その都度アドレスを作って取引を行い、あとはそのまま放置してある「使い捨てアドレス」がかなりある可能性があることです。

 一方で、10BTC(約800万円)以上保有しているアドレスは全体のわずか0.78%にすぎません。しかも多くの保有者が複数のウォレットに分けて保有し、更にウォレットには複数のアドレスが存在することを考慮すると、実際の保有者は全世界でほんの10万人にも満たないと考えられ、ビットコインの持つ一般的なイメージとかなりの開きがある事が分かります。

 さらに、1BTC以上を保有している上位3%の保有者が、全体のビットコインのほとんど(97%)を保有しているという、かなりいびつな保有構造も浮かび上がってきます。

 この様な偏重は、初期のマイナー(発掘者)に対する過度な報酬が原因になっているともいえます。初期のマイナーに対する報酬は現在の4倍もあり、かつ競合するマイナーも少なかったため簡単に多額の報酬を得ていたと推測されます。

 ビットコインのマイニングは約10分に一度行われており、初期の報酬は1回のマイニングごと50BTCでしたが、その後約4年毎に報酬は半減され、現在は12.5BTCとなっています。

 また、ビットコインの初期の価格は、1BTC が1ドルにも満たない価格で、2010年6月には1万BTCでピザ2枚(25ドル)が買えたという逸話が残っているくらいの低い価値しかありませんでした。

 それが現在では、昨年12月のピーク時には1BTCが220万円を突破し、その後急落はしましたが、現在でも82万円程度の価格となっています。

 以上の様な事情から、ビットコインの大口保有者の多くは、発明者のナカモト氏や初期からマイニングを行っていた採掘者だとも言われています。また、これらの人達は一度もビットコインを使った形跡はなく、特にナカモト氏は100万BTC(約8,000億円)を保有しているとも言われています。

 この様な数字を見ると、「みんなで平等に」というビットコインの理念からかけ離れて「一握りの人による、一握りの人のためのビットコイン」になっている現実が見えてくるような気がします。

 ビットコイン投資は、このような背景をよく知った上で検討したした方がよさそうです。

土井 健司 2018年07月30日