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家庭経済の耳より情報

2017年01月10日

酉年、相場格言から探る日本株式市場の行方

 2016年12月30日(大納会)の日経平均株価は1万9114円77銭の終値でした。年初から下げ年央から上昇に入り2015年末終値(1万9033円71銭)を上回り、5年連続の上昇となりました。干支では「申年」でした。相場格言では申年は「騒ぐ、騒がしい」といわれています。トランプ相場の出現で騒がしい展開となりました。

 さて、本年の干支は「酉年」です。相場格言ではやはり「騒ぐ、騒がしい」です。過去60年間の酉年の相場展開はどうだったのでしょうか。
1957年は神武景気の終焉で年間騰落率は13.6%の下落、1969年はいざなぎ景気の終盤で37.6%の上昇、1981年はレーガノミクスのスタートの年で7.9%の上昇、1993年はバブル崩壊最終年でしたが、2.9%の上昇、2005年は自民党の衆議院選圧勝で40.2%の上昇となりました。勝敗にすると4勝1敗となります。

 各酉年の主な出来事も見てみると興味深いものがあります。
1957年は日本の南極越冬隊が南極大陸に初上陸。岸信介内閣の成立。初の五千円紙幣発行。立教大学・長嶋茂雄選手の巨人軍入団決定。
1969年を見てみると学生運動で東大安田講堂攻防戦があり、この影響で東京大学の入学試験中止。日本人の一般海外旅行で1回あたりの外貨持ち出し制限が5000USドルから7000USドルに緩和されたのもこの年です。シャルル・ド・ドゴールがフランス大統領を辞任。日本のGDPが(国民総生産)が西ドイツを抜いて世界第2位に躍進。アポロ11号が人類初の有人月面着陸に成功もありました。
1981年はロナルド・レーガンが第40代アメリカ合衆国大統領に就任し、レーガノミクス(経済再建計画)を発表。スペースシャトルコロンビアが初のスペースシャトルミッションで打ち上げに。また、アメリカ疾病予防管理センターがロスアンゼルス在住の同性愛者から最初のAIDS患者発見。ダイアナ妃、チャールズ皇太子(イギリス王子)と結婚。
1993年はビル・クリントンがアメリカ合衆国大統領に就任。大相撲の曙が外国人力士として初の横綱の昇進。M6.6の「能登沖地震」発生。江沢民中国共産党総書記が国家主席に就任。皇太子徳仁親王が小和田雅子さんとご成婚。北海道南西沖地震が発生し奥尻島では176人の死者が出ました。第40回衆議院総選挙で自由民主党、日本社会党が敗北し、非自民・非共産党連立政権の細川内閣発足。55年体制が崩壊。日本列島改造論を唱えた、田中角栄元首相が死去。
2005年はインドネシアのスマトラ島西方でM8.7の地震発生し、ニアス島を中心におよそ2000名の被害者。イギリスのロンドンで地下鉄や路線バス等で、また、エジプト.シャルムエルシェイクのホテルなどでアルカイダ系組織の自爆テロ、同時爆弾テロが発生し多数の死者、負傷者が出ました。第44回衆議院選挙で自民党率いる与党が326議席獲得し圧勝。
 
 今年の株式市場はどうなるのでしょう。相場変動の材料としてはトランプアメリカ次期大統領の新政策、良くも悪くもトランプショックに振り回らせそうな気配です。アメリカ経済は財政政策の積極拡大で良くなるでしょうがレーガノミクスと同様に財政赤字の発生の懸念があります。また米国製造業の景況感の状態で米国金利の利上げのスピードがどうなるのか。中国の不動産バブルがどうなるのか。原油価格の底打ちで、サウジアラビアなどの原油国の景気、新興国・資源国景気低迷に歯止めがかかるのか、変動要因はかなりありますが、世界的なポピュリズムの台頭で地政学リスク等が高まりで騒がしい1年になりそうです。はたして2005年型の相場のなるのか、あるいは1957年型の相場になるのか気の抜けない展開となりそうです。

(日経平均公式ガイドブック、10000年カレンダーのデータを参照し作成)

金井 剛 2017年01月10日