資産を運用する

家庭経済の耳より情報

2013年07月20日

NISA第3弾 口座開設は銀行で?何を買ったらよいの?

 NISA(少額投資非課税制度)について耳寄り情報はこれまで2回取り上げています。今回はNISAを利用する者の立場で「口座はどこに開設したらよいか?」「商品は何を購入したらよいか?」を考えてみましょう。
今後、日本での個人の資産運用のベースはNISAになるでしょう。昔、誰もが資産運用のベースにしていたマル優制度とNISAが違う点は対象商品が株式・投資信託等であり価格変動により損失を出す場合もあることです。

1、口座をどこで持つか?
 NISA口座は一人・一口座で4年間は口座の変更ができません。また、NISAの対象商品は上場株式、投資信託、ETFやREIT等です。銀行は一部の投資信託しか取り扱っていませんので、品揃えの点で証券会社に軍配が上がります。また、証券会社の中でも、一般的に手数料が安いインターネット証券が有利でしょう。あるインターネット証券はNISA口座での株式取引手数料は一律105円と格安に設定、NISA専用の投資信託の一部は手数料無しも販売が予定されています。
 今回のNISAの制度は定期預金を銀行や信用金庫にタップリ預けているが投資はしていない60歳代以上の方に株、投資信託を持ってほしいという狙いがあります。馴染みのある銀行や信用金庫等で口座を持つか、思い切って有利なインターネット証券に口座開設をしてみるか思案のシドコロです。
 NISA口座では一人・年100万円で計500万円まで利用できます。したがって20歳以上の子供2人に毎年贈与税の非課税枠の110万円内で贈与してNISAを利用すると、夫婦と子供2人で年400万円、計2000万円まで利用できます。家族単位で考えると2000万円の譲渡益・分配金・配当が無税になるわけですからやる気もでてきます。家族4人が同じ証券会社に口座を持たずに目的に合わせて証券会社と銀行に分散するのもよいでしょう。 
 各証券会社、銀行の顧客囲い込み競争が繰り広げられています。6月19日付けの日本経済新聞はNISAの口座開設予約がすでに150万件あり、最終的に1000万件になると推定しています。利用者は有利性、利便性と投資の目的を冷静に判断して、口座開設先を選びましょう。
焦ることはありません、NISA開始は来年1月1日です。

2、どんな商品に投資するか?
 60歳以上の方で、今まで定期預金と国債しか持っていなかった方も、来年1月から、金利に所得税と住民税合わせて20.135%かかる事を考えると、NISA口座で株・投資信託を買おうかと考える方が出てきます。NISAの限度額は年100万円ですので個別の株式、REITを購入するには金額が小さいかもしれません。ユニクロの株は最低350万円以上、トヨタは60万円以上必要です。J-REITも最低50万円以上必要なものが半数、中には100万円以上必要なものもあります。
 NISA口座では長期投資に向いた商品・銘柄をえらび価格の安いタイミングで購入し、一般口座では短期の売却益を狙った商品・銘柄を選ぶというような使い分けも考えられます。このような理由でNISAでは100万円の枠を満額近く利用し、しかもリスクを抑えるために投資信託やETFを選ぶ方が多くなると思われます。しかし投資信託は3000もありその中から選ぶのは至難のワザです。「長期、分散」がNISAの基本ですが、初めて投資する方は証券会社がNISA用に開発する商品が発表されてからじっくり検討してタイミングも見ながら購入するもよいでしょう。節税どころか、損失が出る可能性もありますから要注意です。
来年1月1日に商品を保有している状態である必要はないのです。

3、年100万円の枠
 100万円という金額は、サラリーマンが貯めるのは大変ですが、株式を買うには少ないという微妙な金額です。
30~40歳代でお子様がいて、住宅ローンもかかえている方にとっては100万円というまとまったお金をNISA口座へ毎年移すのは大変です。将来の投資の勉強を兼ねて毎月一定額(たとえ年間100万円にならなくても)を積立投信を購入するという方法もよいでしょう。
 さらに、現役世代の方にはNISAよりもっと有利な確定拠出年金制度もあります。これは自営業や多くの60歳未満の現役サラリーマンの方が退職後の生活資金の為、毎月一定金額を積み立て投資するものです。その結果を60歳以後に年金・一時金で受け取ることができます。積立投資をお考えの方は確定拠出年金を、今ある100万円の活用はNISAと使い分けされたらどうでしょうか。
 
 家庭・個人の資産運用のベースとしてNISA、確定拠出年金や贈与税の制度を上手に活用して生活の安定をはかれるよう、FPに投資と家計の相談をする習慣が日本に根づいて欲しいと思います。

鈴木 榮三郎 2013年07月20日