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家庭経済の耳より情報

2012年12月30日

今最も進化を遂げるETF(上場投資信託)の最新情報(上)

 ETF(上場投資信託)の歴史は比較的浅く、1990年にカナダトロント証券所に上場した「TIPS35」(Toronto 35 Index Participation Units)が初めてで、引き続き米国で1993年「S&P500総合株価」に連動したETFが上場。初めて世界で成功したETFとして注目を集めました。
日本では、1995年「日経300株価指数連動型上場投資信託」が初めて上場しました。

その後、世界のマーケットは急拡大。2000年に92本(744億米ドル)だったのが、2011年8月末には、全世界49取引所に2,825本のETFが上場。運用資産残高は約1兆4,427億米ドルと18倍以上になるなど、ETF市場の発展は目覚しいものがあります。特に、米国のETF市場は個別株を凌ぐ勢いで、「2011年9月、売買代金の3割を突破。個別株を含めたトップ20の内11銘柄をETFが占めました。」(日経ヴェリタス)

日本のETF市場は、2001年本格的な導入以降、2007年6月22日に6兆3,060億円の純資産残高のピーク後、2010年8月25日2兆636億円のボトムを打ったものの、その後ピークを超えられないまま低迷を続けています。
しかし、ここにきて、日本市場においても上場本数が急速に増えてきて、現在、国内上場本数は129本(2012年11月末)となっています。

 ETFの良さは、まず第1に保有コストが安い事が挙げられます。日経225に連動するインデックス型投資信託の場合、信託報酬(保有コスト)は年率0.55%~0.84%程度ですが、同じ日経225に連動するETFの場合、信託報酬は0.17%~0.25%程度で非常に安く設定されています。

第2は、購入価格の透明性です。投資信託は購入価格が注文を出した時の価格ではなく、通常は翌日の基準価格となります。従って、投資家は注文を出した時点では購入価格が分からないわけです。更に、海外投資信託の場合、翌々日の基準価格で決まるケースもありますので、注文時点より購入価格がかなり異なる場合もあるわけです。
それに対し、ETFは株式と同じようにリアルタイムで価格が分かりますし、指値注文(希望価格指定)であれば、投資家の希望する価格で購入することができます。

第3は、ETFの仕組みが、インデックス(指数)と連動するように設計されていますので、収益の構造が非常に分かり易い点にあります。アクティブ型投資信託の場合、収益の源泉がファンドマネージャーの腕なのか、市場のせいなのか等、分かりにくい点がありますが、ETFは指数に連動していますので、その点で透明性が高いと言えます。
この点が、大いに評価され、リーマンショックの後、市場が低迷する中にもかかわらず、ETFは大きな伸びを見せました。

 現在では、インデックスは世界で1万種類以上に増え、ETFもそれに伴って種類が非常に増えてきて、投資家もこの点に注意する必要が出てきました。
次回は、その点ついても触れてみたいと思います。

土井 健司  2012年12月30日