資産を運用する

家庭経済の耳より情報

2026年07月25日

「貯蓄から投資へ」というけれど、どこまで投資を増やすべきなのでしょう?

日本の家計の金融資産構成の特徴は?

国際比較すると現預金比率が高く、有価証券の比率が低いことだと言われています。運用利回りが高い有価証券の比率が低いため、日本の家計の金融資産全体の運用利回りは相対的に劣ってきました。
政府はこの状況を改善するために、「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げ、金融教育を推進するとともに、NISA枠の拡大等の投資を促す制度を充実させてきました。

これらの努力が近年の内外の株式市場の上昇と相まって実を結び、下記の表の通り2025年末時点で現預金比率が48.5%と2007年以来初めて50%を切り、さらに2026年3月末では47.2%まで下がりました。また、株式・投信・債券の保有比率も2025年3月末23%、2026年3月末25.1%と上昇基調にあります。

<日銀統計局発行資金循環参考図表から筆者が抜粋し作成>

<日銀統計局発行資金循環参考図表から筆者が抜粋し作成>

また、政府が今夏に発表予定の新金融戦略の原案では、株式・投信・債券の比率を40%に引き上げる目標を掲げることを検討していると報道されています。

では、個々の家計は『貯蓄から投資へ』をどのように進めればよいのでしょう?

有価証券投資は確かにリターンが高いですが、無条件に現預金を減らし、有価証券投資を増やすわけにはいきません。有価証券投資には資産価格の変動性(金融理論におけるリスク)が伴うからです。
個々の家計がどこまで投資を増やせるかは、投資した有価証券の価格が下落した場合に家計のやりくりを続けられるかどうかで決まります。そして、それは個々の家計で異なります。
その適切な投資額を見極めるためには、家計の収支や金融資産残高の推移を把握することができる「キャッシュフロー表」を作成することが第一歩になります。将来の金融資産残高の推移を把握することにより、現在保有している金融資産を、当面使う予定のない余裕資金や使途が近い資金など、資金の運用可能期間に応じて分類することができます。この分類に従い金融資産の構成を考えればよいでしょう。投資については長期間使用することのない余裕資金の範囲内で行えば、投資した有価証券が大幅に下落した場合でも家計のやりくりに大きな影響を与えずに済むことになります。

また、投資の対象になる株式・投信・債券の種類やそれらの構成比率によって投資資産の価格変動性の大きさが異なることにも注意が必要です。例えば、株式中心の投資対象に債券を加えることによって投資価格の変動性が小さくなります。資産の分散効果です。ただ、めったに起こることではありませんが、リーマンショック時のように、すべての資産価格が同時に下落し、分散効果が十分に発揮できない場合もありますので、注意が必要です。

以上、個々の家計の「貯蓄から投資へ」の進め方をまとめると
①キャッシュフロー表を作成し、金融資産残高の推移から保有している資金の運用可能期間を知る。
②資金の運用可能期間に沿った金融資産の構成を考える。投資は長期間使用しない余裕資金の範囲内を目途とする。また、投資対象の種類によって資産価格の変動性が変わることにも留意する。

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岸上 和夫 2026年07月25日