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家庭経済の耳より情報

2025年07月10日

不動産売却時の「5つの不動産価格」

 貴重な資産である不動産を売却する場合、一般的に5つの価格が発生します。この5つの価格の意味を理解することは、売主にとり非常に重要です。
 今日は、「5つの不動産価格」についてお話したいと思います。

1. 不動産(中古住宅)売却の流れ
 不動産売却の流れは、下記のように8つのステップを踏みます。
① [売却相談]⇒②[物件調査・査定]⇒③[売主の売却検討]⇒④[媒介契約締結]
 ⇒⑤[契約交渉]⇒⑥[契約締結]⇒⑦[契約の履行]⇒⑧[決済引渡]
 この流れの時、①売主希望価格②査定価格④売出価格⑤買主希望価格⑥契約価格
以上のような「5つの不動産価格」が発生します。

2.「5つの不動産価格」の意味
 では、それぞれの価格の意味を考えてみましょう。
(1) 売主希望価格
  文字どおり、売主が売りたい価格です。一般的に相場・査定価格より高めの金額になることが多いです。
(2) 査定価格
  売主から依頼を受けた不動産会社が、物件の状況、近隣取引事例などの調査を行い、不動産会社として売りに出したら3ヶ月以内に売却できる可能性が高い価格を「査定価格」として試算し、売主に提示します。
(3) 売出価格
  売主が上記「売主希望価格」と「査定価格」を踏まえ決定した価格。「査定価格」より少し上乗せした価格に設定される場合が多いが、高すぎる価格を売出価格にすると、「回し物件(本命物件をより良く見せるために比較対象に使われてしまう物件)」にされてしまうので、要注意です。
(4) 買主希望価格
  買主の購入希望価格。通常は売出価格より安く(指値)提示される。中古住宅の場合、買主はリフォーム費用等を踏まえて値段交渉をしてくる場合が多い。
(5) 契約価格
  売主・買主の交渉の結果、合意した価格。売買契約書の金額となる。

3.特に注意が必要な価格
 「査定価格」には注意が必要です。以下のような価格が提示された場合は、価格の根拠を提示してきた不動産会社に良く確認することが重要です。
(1) 他社より極端に安い「査定価格」
   この場合、買取業者などへの転売や、査定した不動産会社による買取目的でわれる可能性があり、そうなると売主が損害を受ける可能性が高くなります。
(2) 他社見積額に比べ、高い「査定価格」
他社より高く査定金額を提示することで、自社だけに媒介契約を締結するように売主に仕向けます。この場合、「囲い込み」と言われる行為を行われる可能性があります。「囲い込み」とは、媒介を受けた不動産会社が、自社の利益を増やすため(売主・買主両方から手数料を得るため)に、他社からの客付を断ったり、物件情報を正しく提示しかったりで、売主の不利益につながる場合が多く発生します。

4.防止策
 上記のような、価格を不当にコントロールするような不動産会社と契約しないためには
(1) 複数の不動産会社へ査定依頼をする。
(2) 査定報告を受けた際に、担当者へ分からないことは直ぐ質問し、回答が丁寧で分かりやすい会社を媒介契約の候補に選ぶ。
(3) 自分の家の相場を常日頃調べておく。ポータルサイト等で時間がある時に近隣物件の売出価格等を調べておくとよい。また、簡便な方法として、固定資産税納税証明書に記載されている不動産価格を1.7~1.8倍した価格も参考になる。
 
5.まとめ 
 貴重な個人資産である不動産を売却するには、それなりの理由があると思います。
 不動産売却をお考えの方は、「5つの不動産価格」の知識を身に付けることで、適正な取引が行われ、後悔のない不動産取引が行われることになる1つの対策になると思います。
是非価格の特徴を覚えていただければ幸いです。

熊谷 利雄 2025年07月10日